ビブロスとは現在世界遺産になっている遺構のことです。その所在地はレバノンです。
紀元前3000年以前からフェニキア人たちはビブロスで生活を営んでいました。
ビブロスには女主人がいた?
バアラト・ゲバル。
それがビブロスの守護神の名前でした。
この守護神バアラト・ゲバルは女神でビブロスの女主人とみなされていました。
フェニキア人たちはこの女神を信仰しながら暮らしていました。
なお、レバノン杉の輸出が主な生活の糧となっていました。
レバノン杉とは?
レバノン杉の材質は非常に丈夫でした。具体的には固さと太さを兼ね備えている上に、腐食しにくいという特徴を持っていました。
このようなレバノン杉は古代の建造物を建設する上で必要不可欠なものでした。
例えば神殿や船をを作るときにはどの国もどの都市もこのレバノン杉を欲しがりました。
少し大げさに表現するなら、現代社会の石油のようにレバノン杉は古代社会において必要不可欠なものだったのでした。
樹脂まで使えたレバノン杉。
レバノン杉の樹脂は特徴歴な芳しい香りがしたため、これも芳香剤や保存剤として重宝されていました。
ビブロスの貿易。
前出のレバノン杉の積出港としてビブロスは機能していました。
フェニキア人たちはこのレバノン杉を主に『エジプト』に輸出しました。
さらに、商売上手なフェニキア人たちはエジプトからあるものを大量に『輸入』していました。
それは、あの有名なパピルスです。
パピルスとは古代エジプトでカミガヤツリという草の茎から作られた『紙』のことです。
機械のなかった当時は『パピルス』を製作するためにはかなりの人手と日数が必要とされていました。
そして量産技術も発達していなかったたため、1枚1枚手作業で作られていました。そのためこの紙は非常に高価なものでした。
それでも需要は大きかったのです。
なぜなら、当時の人々は通常、文字を粘土板に書き記さなければなりませんでした。粘土板はその重さのために持ち運びに不便な上に保管するためにも広大な敷地が必要でした。
そのため、古代の図書館は巨大にならざるを得なかったという話もあります。
そんな状況を一変させる便利なパピルスという紙をビブロスのフェニキア人たちはエジプトから大量に輸入していたのです。
そしてそれらを地中海沿岸諸国に転売して莫大な利益を出していました。
世界遺産ビブロスの街の名前の由来はパピルス?
そのせいか、ギリシア語で『パピルス』を意味する『ビブロス』がこのフェニキア人たちの港町の名前になりました。
余談。石棺が面白い? ビブロスの王、アヒラム王について。
現在のレバノンの首都であるベイルートの国立博物館には興味深い石棺が展示されています。
石棺に『絵』が描かれているため、当時のビブロスの様子を知る手がかりとなるのです。
石灰岩製のこの石棺にはハスの花と杯を手にした王が玉座に座っている様子が描かれています。その玉座はスフィンクスによって支えられています。
玉座の前には供物の載せられたテーブルがあり、テーブルを挟んで向かい側には7人の従者が控えています。
また、別の側面には王の死を嘆き悲しむ4人の女たちの様子が描かれています。
髪をかきむしったり、露わにした裸の胸を手で打ったりしています。
また石棺の縁はハスの花とつぼみを交互に描くことで装飾されています。
これらはエジプト美術の影響を受けている装飾のようです。
まとめ。
・ビブロスのフェニキア人たちは守護神バアラト・ゲバルを『女主人』として信仰していました。
・ビブロスのフェニキア人たちはレバノン杉を輸出して、エジプトからパピルスを輸入し、それを転売して繁栄していた。
・世界遺産の古代都市の名前が『ビブロス』になったのはパピルスを大量に転売していたから。
ビブロス王のアヒラム王の石棺には当時の様子がわかる絵が描かれており興味深い。
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