【内容】カエサルのガリア戦記。その内容は? 歴史的にも価値のあるガリア人の話。

カエサル カエサル
古代ローマ

カエサルの書いた【ガリア戦記】。

全8巻からなる大作ですが、その魅力はどこにあるのでしょうか。

それは武将【カエサル】本人が書いたことにあります。(カエサルが奴隷に自らの言葉を書かせたという口述筆記の説あり)

例えば織田信長は自伝を残していません。信長の死後、部下がその自伝を残しています。一方でカエサルは『本人』が直接自らの様々な経験を書き記しているのです。

さらに、武将本人がガリア戦記のような【戦記】を残すことは極めて稀です。

大抵の武将は武勇伝でさえその部下が書き残しています。

しかしカエサルは戦記の記述にあたって他者を介していないために、読み進めているうちに筆者であるカエサル本人の姿が浮かびあがります。そしてそれが【ガリア戦記】の魅力となっています。

また、カエサルのガリア遠征の苦労も文章からひしひしと伝わってきます。また、実際にカエサルは有能な武将なのですが、時折、自分自身をさらに大きく見せようと記述しているところは微笑ましく感じられます。

前置きはこれぐらいにして、全八巻のガリア戦記のその【内容】の一部を見ていきましょう。

第一巻からガリア戦記の一部を紹介。

では以下がその冒頭の内容になります。

カエサルは将来戦うことになるガリア人の勇猛さをまず述べています。

ガリア人が勇猛な理由としてカエサルはガリア人は商人の行き来がほとんどない地方に居住しているため贅沢品を手に入れる手段が少ないこと。

(享楽にふけることがない)

やガリア人同士が頻繁に争っていることなどをあげています。

(武勇が磨かれる)

当時のガリア人はローマ人から見て、【勇猛な】部族と認識されていたようです。

続いてカエサルの最初の敵であるヘルウェティ族の動向について詳細に記しています。結構長くなります。

ヘルウェティイ族のガリア統一計画。

カエサルはヘルウェティ族の戦の準備について記述しています。

ガリア人のヘルウェティイ族は狭い領地を拡大してガリア全土を統一する野望を抱いていました。

ヘルウェティイ族は戦の準備を終了するまでに二年もあれば大丈夫だと見当をつけて、役畜と荷車をできるだけたくさん買い集めていました。

またヘルウェティ族は旅行中の食糧を十分確保しておくために畑にできるだけたくさんの種をまきました。

近隣部族との平和と友情も固めました。

最高責任者を決めるなどの法的手続きも部族内で行われました。

こうしてヘルウェティイ族は準備を着々と進めていきました。

しかし――。

ヘルウェティイ族の最高責任者は野心家だった。

着々とガリア全土の征服を目指す中で、ヘルウェティイ族の最高責任者に選ばれた男(オルゲトリクス)は、他部族の族長に自分の娘を嫁がせるなどして、戦いの前に精強な他の2つの部族の有力者を味方に引き入れました。

そして最強の三部族でガリア全土を統一しようと計画を進めました。

しかしこの男(オルゲトリクス)は自らの部族(ヘルウェティ族)の王になる野望を抱いていました。

そして他の部族の有力者たちにも(仲間にも)その旨を伝えて各自が属する部族のトップになるように勧めました。

しかしこの企みは密告者を通じてヘルウェティ族内に知れ渡ります。

裏切者には裁きを。

これは問題になります。

この男(オルゲトリクス)は自分の部族内(ヘルウェティ族)で一時的に最高責任者になるように民衆に選ばれただけなので、王になるという野心・計画は部族に対しての裏切り行為に当たりました。

陰謀が表立ったことでこの男(オルゲトリクス)は鎖につながれました。そして罰として部族の慣例で火あぶりに処せられることになっていました。

しかし自己弁明の機会が与えられる日に、裁きの場の近くに自らの奴隷を一万人集めて圧力をかけ、裁判で申し開きをする義務を逃れました。

これに憤慨した民衆は武器を手に取りました。畑で働いていた人も動員されました。しかしこのさなかにこの男(オルゲトリクス)は死にました。自殺だと推察されています。

最高責任者亡き後も計画は続行。決意が凄まじい。

このようなごたごたがありましたが、ヘルウェティ族はその後(オルゲトリクスの死後)も戦いの準備をすすめました。

準備が完了したとき、今まで自分たちが住んでいた城市12個と村落を約400、その他孤立している家屋も含めてすべてを焼き払いました。旅に持って出ることのできない食糧もすべて焼き捨てました。

万一の時に戻ってこられるという『期待』を部族の全構成員から奪うことで、部族全員が一団となって覚悟を固め、この先どんな困難でも耐え抜くことができるだろうと目論んだのです。

食糧は各自、家から三か月分の麦粉を持って出るように命令されていました。

仲間ができる。

こうしてガリア統一の旅に出るヘルウェティ族は、出発の際に近隣の部族にも「我々の真似をして村落を焼き払い一緒に旅に出ないか」と声をかけます。

するとその説得に応じるいくつかの部族が現れてヘルウェティ族の同盟部族が増えました。

部族一丸となって旅に出たヘルウェティ族はさっそく川を渡らなければならなくなりました。

川を渡りたいけれど・・・。

しかし、川を渡るには最近ローマに征服されたばかりのアッロブロゲス族の領内を通過しなければなりませんでした。

つまりヘルウェティ族はローマ領内を国境を侵犯して通過しようと考えていました。

アッロブロゲス族は最近ローマに征服されたばかりなのでローマに対して良い感情があまりないだろう、だから自分たちの通行を許可してくれるだろう、とヘルウェティ族は考えていたのです。

(アッロブロゲス族はローマに謀反を起こして鎮圧・征服されたばかりでした)

そしてもし許可されなかったとしても、力ずくでアッロブロゲス族領内(ローマ領内)を通行しようとヘルウェティ族は考えていました。

カエサルに知らせが。

このことはローマの将軍カエサルの元に知らされます。

領内に向けて大人数の軍勢が押し寄せているというこの知らせを受けてカエサルはただちに都を立ちました。

(カエサルはこう記しているが、記録によると実際は都での政治工作のために三月末まで都にいたらしい)

カエサルはできるだけ道中を急ぎました。

ローマの属州を通過し、アッロブロゲス族の領内に到着しました。

ローマの属州にはわずか一個軍団しかいなかったため属州全体から援軍を出すようにカエサルは命じました。

そして川の橋を落としました。

カエサルの到着を知ったヘルウェティイ族は部族で一番優れた家柄の者たちを使者としてカエサルの元に送りました。

使者たちはカエサルに「われわれはローマの属州を通過するときに悪いことをするつもりは毛頭ない。だから通行を許してもらいたい」と伝えました。

カエサルはかつてローマが受けた屈辱を忘れていなかった。

しかしカエサルはこのヘルウェティによってローマの執政官カッシウスが殺されたことを覚えていました。そしてローマ人の捕虜が槍門の下をくぐらされたことを根に持っていました。

槍門の下をくぐるとは、槍で作った門の下をくぐらされることです。

三本の槍で作られた門は、地面に二本の槍が突き立てられ、間に一本の槍がかけられていました。捕虜たちはその槍の下をくぐらされるのですが、これはローマ兵にとって最大の屈辱でしたた。

カエサルは彼らに譲歩しない心づもりでいました。

募集していた兵士が集まるまでできるだけ時間を稼ぐ必要があったからです。

だからこう答えました。

「この申し出を検討するため、一定の時間を必要とする。もしお前らが、どうしても、望みをかなえたいなら、四月十三日に、もう一度ここに戻って来るのがよかろう」

ガリア戦記の内容はこのような話がどんどん続いていくものとなっています。

このようなガリア戦記の内容をもっと記述したいのですが、膨大な量になるので残念ながらそれはできません。

ここまで説明するために3000文字が必要でした。とてもすべては書ききることはできません。

ガリア戦記クイズ

ガリア戦記クイズに挑戦してみましょう。

クイズ

ガリア戦記の作者の名前は?
ガリア戦記(講談社学術文庫)の220ページに書かれているゲルマニアの制度や習慣について。ゲルマニア人が神としてあがめていたものは何か?
ガリア戦記の作者を暗殺したのは誰か。
ガリア戦記クイズ
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