高杉晋作の名言が心に響く

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【歴史の深層】「おもしろき こともなき世を おもしろく」──高杉晋作の“反骨の一句”が、令和の若者を突き動かす理由

高杉晋作
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――“生きづらさ”を笑い飛ばせ。幕末の異端児・高杉晋作、その言葉はいまも鋭く胸を刺す。

2025年、高杉晋作の命日(旧暦では5月17日)を前に、彼の代表的な名言の一句が歴史ファンの間で静かに再注目されている。

「おもしろき こともなき世を おもしろく」

この言葉は、長州藩士・高杉晋作が結核で床に伏していた際に詠んだとされる辞世の句である。史料によっては、彼の辞世を受けて野村望東尼(のむら・ぼうとうに)が続けて「住みなすものは 心なりけり」と詠んだという説もある。だが、この句の“原型”とも言える「おもしろくなき世をおもしろく」が晋作の精神を最も端的に物語っていると見る歴史家は多い。

「この句には、彼の性格が詰まっている」と語るのは、歴史評論家の望月英太氏。

「高杉は常に既存の枠組みにあらがっていた。開国か攘夷かという二元論の中で、彼は“奇兵隊”という民兵組織を作り、身分の垣根を壊そうとした。普通は『つまらない世の中だ』と嘆いて終わるところを、彼は『だからこそ面白くしよう』と自分で火を点けたんです。まさに維新の火薬庫でしたよ」

確かに、幕府による長州征討(第一次:1864年/元治元年)や、その後の長州藩内でのクーデターにおいても、晋作は「反主流」の立場にいた。それでも彼は、江戸・京都・上海と視野を広げ、腐敗した体制を変えようと試み続けた。

そんな彼の行動と精神は、現代の“閉塞感”に悩む若者たちの心に妙にフィットするらしい。

東京都在住の会社員で、歴史系ファンの永田真実さん(29)は語る。

「ぶっちゃけ今って、真面目に働いても報われないって空気あるじゃないですか。だけど高杉のこの句を見ると、『この世がつまらないなら、自分で面白くしようぜ』って背中を押してくれる。自分のSNS上のハンドルネームも“奇兵隊くん”って名前にしようか迷ってます(笑)」

ネット上でも、《高杉晋作の辞世こそが、現代日本へのメッセージ》《“おもしろくする”のは自分自身、って最高に心に響く》などの投稿が見られるようになっている。

一方で、近代史を専門とする歴史評論家の谷口久美さんは冷静な見方を示す。

「高杉はカリスマ的リーダーであった反面、組織的には粗が多く、部下からも不満があったと言われています。彼の死は27歳という若さだったが、逆にそれが“伝説化”を加速させた側面もあります。名言もまた、時代が都合よく解釈するものなのです」

たしかに、言葉は時に独り歩きし、神格化される。しかし、高杉晋作のこの句は、語感の良さを超えて、「行動で風穴を開ける精神」を帯びている。それこそが令和の混沌において、彼が“共鳴”される理由なのだろう。

高杉晋作の人生は、決して順風満帆ではなかった。周囲から浮き、藩内クーデターに成功したものの、病に倒れ、命を散らした。しかしその歩みは、まるで“つまらない世”を“おもしろく”する実践の記録だった。

令和の空気が重く感じられる今だからこそ、高杉の言葉は再び私たちの胸に突き刺さる。「おもしろくなき世」をどう生きるか。答えは、私たち自身の中にあるのかもしれない。

高杉晋作の名言ランキングベスト11

高杉晋作
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高杉晋作の名言ランキングベスト11を箇条書きで紹介します。


高杉晋作 名言ランキング トップ11

  1. 「おもしろき こともなき世を おもしろく」
    • 辞世の句としても知られ、病床に伏しながらもユーモアと生きる喜びを忘れない晋作の精神が凝縮された一句。
  2. 「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し」
    • 奇兵隊を率いて幕府軍と対峙した際に詠んだとされる、彼の圧倒的な存在感と実行力を表す言葉。
  3. 「人間というものは、いかなる場合でも、希望というものを失ってはならぬ。いかなる苦難のなかにあっても、希望だけは失ってはならぬ。希望さえあれば、必ず道は開ける。」
    • 困難な状況でも決して諦めない、強い信念が込められた言葉。
  4. 「真の英雄とは、常に時代の先を読み、他人が思いつかないような奇策を実行する者である。」
    • 革新的な発想と行動力を重んじた晋作の思想が表れている。
  5. 「事をなすは、人事にありて、天に在らず。」
    • 何事も人間の努力次第であり、天命に任せるだけではないという、積極的な姿勢を示す言葉。
  6. 「たとえ身は滅びるとも、その志は永遠に生きる。」
    • 自らの命を顧みず、大義のために尽くした晋作の覚悟と、後世に託す思いが伝わる。
  7. 「およそ物事をなすには、まず志を立てねばならぬ。」
    • 行動の原点となる「志」の重要性を説いている。
  8. 「国家のために死すは、武士の本懐なり。」
    • 幕末の志士としての強い使命感と、国を憂う気持ちが表れている。
  9. 「ただ今、日本国難の時なり。この難を救うは、我ら青年有志の務めなり。」
    • 当時の日本の危機的状況を認識し、自ら率先して行動しようとする意気込みが感じられる。
  10. 「死ぬまでは生きよ、生きるは死ぬるなり。」
    • 生きることと死ぬことの深遠な関係を示唆し、生を全うすることの重要性を説いている。
  11. 「一日の計は朝にあり。」
    • 日々の計画を立て、それを実行することの重要性を説く、行動的な晋作らしい言葉。

まとめ:現代にも通じる、高杉晋作の「変革の精神」

高杉晋作
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高杉晋作が生きた幕末は、まさに日本が大きく変革を迫られた時代でした。その中で彼は、既成概念にとらわれず、自らの信念を貫き通しました。彼の名言は、私たちに「変化を恐れず、自ら変化を起こすことの重要性」を教えてくれています。

混迷の時代と言われる現代において、高杉晋作の言葉は、私たちに勇気と活力を与え、未来を切り開くためのヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

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