教科書(高校世界史B)の内容+αのフルカラーまとめです。
古代エジプト文明の場所。
メソポタミア文明と同様に、エジプト文明もまた『川』も流域に成立しました。
エジプト文明が成立したのはナイル川流域です。
ナイル川は毎年夏になると上流域の降雨によって増水し、水が引くと肥沃な土壌を残しました。
このため『エジプトはナイルのたまもの』といわれました。
ちなみに『エジプトはナイルのたまもの』というこの言葉は歴史家のヘロドトス(紀元前484年生まれ)がその著書『歴史』の中に書き記していることで有名です。
古代エジプト文明の変遷。
エジプト文明ではナイル川がもたらす土壌の恩恵を受けて、豊かな農業が営まれていました。
ハム語系のエジプト人たちは最初、ノモスと呼ばれる小国家ごとにまとまって暮らしていました。
やがて紀元前3000年頃になると、ナイル川上流の『上エジプト』とナイル川下流の『下エジプト』が初めて統一されました。
このときの王は上エジプト出身のメネス王です。
以来、エジプトでは31の王朝が興亡を繰り返します。
ただし、31もの全ての王朝を覚える必要はなく、大学入試などではこの31王朝をざっくり3つに分けた、
『古王国』『中王国』『新王国』について覚えて行けばエジプト文明を得点源にすることができます。
また、エジプト文明は周囲を海と砂漠に囲まれた【閉鎖的な地形】に位置していたため、メソポタミア文明のようにたくさんの民族が入り乱れることはありませんでした。ですから【古王国】も【中王国】も【新王国】もすべて【エジプト人(ハム語系)】の国です。
エジプト文明については『古王国』➡『中王国』➡『新王国』の内容を覚える。
老若男女の方に向けた学習ページですが、特に大学受験生の方は太字を覚えていきましょう。
最初の『古王国』
古王国(第3~第6王朝時代)【紀元前2650頃~紀元前2120頃】
・メンフィスを首都においた。(下地図北部の星印)
・国家の中心が南部からデルタ地帯に移った。メンフィスやヘリオポリスなどの都市が栄えた。
・神王としてのファラオの地位が確立された。
・ピラミッドやスフィンクスが造営された。
・第5王朝以降ラー(太陽神)信仰が支配的になった。
・ギザやサッカラーなどの遺跡が有名。
・ギザの三大ピラミッドはクフ王、カフラー王、メンカウラー王のもの。
・第6王朝が崩壊すると地方勢力が割拠する状況となり、国内は乱れた。
二番目の『中王国』
中王国(第11王朝・第12王朝)【紀元前2020頃~紀元前1793年頃】
・古王国が滅びたあとの混乱から回復し、テーベの王がエジプトを再統一した。
・王朝がテーベ出身のため最高神はテーベの都市神(守護神)アメンになる。なお、アメンはアモンとも呼ばれる。呼び方はどちらでも良い。
・テーベを都に置く。(下地図南部の星印)
・ファラオは『正義の牧者』となり、ファイユームの大干拓などを行い、クレタとの修好も結ぶ。
・勢力範囲はエジプトのみならず、シリア、ヌビア(≒現在のスーダン)にまで及んだ。
・官僚制度を整える一方で、教育が広まり文学作品も多く作られた。
・中王国時代末期にはヒクソスと呼ばれる異民族がメソポタミア方面からエジプトに侵入した。(ヒクソスとは民族名ではなく、アジア系異民族の総称。語源は「異邦人の支配者」とされる。
・ヒクソスは第12王朝時代に北シリアから傭兵としてエジプトに連れてこられたアジア人が祖先である可能性が高い。徐々にエジプトに侵入し、第15、16王朝を建て、約100年間エジプトを支配した。
・ヒクソスは鉄の武器と戦車を使用した。
最後の『新王国』
新王国。(第18~20王朝)【紀元前1550頃~紀元前1085頃】
・テーベの王がヒクソスを追放して成立。
・都をテーベに置く。
・積極的な外征でシリアまで領土を拡大させる。
・トトメス3世【在位紀元前1479~紀元前1425年頃】のときに最大領土となる。後世『古代のナポレオン』と呼ばれる。
・トトメス3世及びアメンホテプ3世のときが最盛期
・アメンホテプ4世は第18王朝の「異端王」。アメン(アモン)【テーベの守護神】信仰を捨てて唯一神アトンの崇拝を始める。その目的は、テーベの守護神アメン(アモン)を奉じる神官団を抑えるため。この一連の改革はアマルナ改革と呼ばれる。また、テーベを離れてテル=エル=アマルナに遷都する。
・アメンホテプ4世は自らの名前もイクナートン(アトンに有益なる者)に改名する。
・アマルナ美術と呼ばれる写実的芸術も栄えた。
・アメンホテプ4世の晩年は平和政策によってアジア領は失われ、アモン神官団の反撃にあい、国内の混乱のうちに没した。
・アメンホテプ4世の妃はフェネルティティ。後継者はツタンカーメン。
・ツタンカーメン王の遺跡は20世紀にイギリス人のカーターとカーナヴォンがほぼ完璧な状態で発掘した。
・エジプト第19王朝の王、ラメス2世(ラメセス2世)【在位紀元前1279~紀元前1213頃】
はヒッタイトと戦い、南進を阻止する。カデシュの戦いののちヒッタイトと最古の国際条約を結ぶ。
・ラメス2世が造営したアブ・シンベル神殿は有名。
・アモン=ラー。強大化したアモンが新王国時代に国家神ラーと結合してアモン=ラーとなり、その神官団が強勢となった。
エジプト王国は紀元前7世紀にはアッシリアの、紀元前525年にもアケメネス朝の侵入を受けて滅びた。(それぞれエジプト新王国よりもさらにあとの時代のエジプト)
お疲れ様でした。
以上がエジプト文明の基本事項になります。あと少しだけ補足事項を覚えるとエジプト文明の学習は完璧になります。
補足事項。
エジプト文明の文化。
・多神教を信仰。ラー・アモン・アトン・オシリスなど。
・霊魂不滅の信仰。ミイラ・『死者の書』の制作。
・神聖文字(ヒエログリフ)・神官文字(ヒエラティック)・民用文字(デモティック)を使用。
・神聖文字の解決の手がかりとなった石碑は、1799にナポレオン軍のエジプト遠征の際にロゼッタで発見されたことからロゼッタストーンと呼ばれている。
・ロゼッタストーンは上から順に神聖文字、民用文字、ギリシア文字の三種類の文字が刻まれていた。フランス人のシャンポリオンが解読する。
・文字をパピルス(≒紙)に記述。*粘土板じゃない!
・太陽暦と十進法を使用。
・測地術の発達。
お疲れ様でした。エジプト文明の学習はこれで全部完了となります。
次はアラム人・フェニキア人・ヘブライ人の学習に移りましょう。
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